コストコはなぜ年会費を4400円に上げるのか
コストコといえば会員制のスーパーで大成功している企業だろう。
決算書をみると経営者の会費の値上げに踏み切った経営者の苦悩がわかるだろう。
大型店舗のチェーン展開という薄利多売なビジネスの特徴がわかる。
市民権を得たコストコ
「コストコ」と聞いて、もはや知らないひとは少数派だろう。正式名称はコストコ・ホールセール。米国生まれの会員制小売りチェーンで、1999年に福岡県糟屋郡の久山倉庫店を第1号店へ日本進出してから17年で、徐々に店舗を広げてきた。いまでは幕張、多摩境、新三郷、座間、岐阜羽島など、日本国内に25店を構える。全世界では、2016年7月時点で約700店のネットワークだ。
コストコは会費(1年更新)を払ったお客に、割安な価格で商品を提供しているのがビジネスモデルの特徴だ。コストコに行った経験がある読者も少なくないだろうが、巨大な倉庫のような店内に、生鮮・加工食品から飲料、日用雑貨、家電製品、事務用品、衣料、カー用品など幅広い商材を取りそろえ、業務用サイズを中心としたボリュームのある商品が広い店内に並ぶ。フードコートや調剤薬局、ガソリンスタンド、補聴器センターなどを併設する店舗もあり、休日は家族連れでにぎわう人気店である。
そのコストコが1999年の進出以来、初めて日本で会費を値上げする。これまで個人会員は年4000円(法人は3500円、いずれも税別)だったが、9月1日からは同4400円(法人は3850円、同)と従来から1割の上昇だ。
1999年からインフレ率が上昇しておらず、消費者物価指数も横ばいを続ける日本で、10%も上がることに驚いたひともいるだろう。ただ、このコストコのビジネスモデルを考えるうえで、この年会費はきわめて重要な意味を持つ。そこで、コストコのビジネスモデルについて、実際の損益計算書を見ながら検証してみよう。
コメントを残す