“LINEを超えるアプリ”「Kik」2億人のチャットアプリ
「KikのID教えてよ!」――
米国のテイーンエイジャーらの間では、
今や日常的にこんな言葉が交わされている。
6年前にローンチされたメッセージアプリのkikは、
米国の10代の40%が利用中。
世界で2億4000万人の登録ユーザを抱えている。
サンフランシスコの高校教師によると、
生徒らにとって今やFacebookは「全くクールではない」という。
今週、Kikは同社のさらなる成長に向けて、
中国のIT企業大手、テンセント社との提携を発表した。
テンセントはKik社の株式の一部を
5000万ドル(約61億8000万円)で購入。
これにより、Kikの市場価値は10億ドル(約1240億円)を越えた。
Kikはこの資金を用い、社員数を現状の倍の200名に増員。
さらなるユーザーの獲得に乗り出していく。
Kikの特徴的なサービスと言えるのが「ボット」だ。
KikはJamと呼ばれる音楽サービスを持ち、
そこでチャット・ボットを用いてユーザの音楽の嗜好を判別し、
類似したユーザらをつなげている。
現状では低グレードのAI(人工知能)的なシステムだが、
長期的にはより洗練されたものに仕上げていく。
Kikを手助けするテンセントは中国で最も
人気のメッセージアプリWeChatを所有し、
その利用者は5億人を誇る。
[ad#co-1]WeChatは競合アプリのLINEやWhatsApp、
Kakaoのずっと先を行っている。
Kik創業者でCEOのテッド・リビングストーンは28歳。
彼によると、
「中国では自動販売機をWeChatでスキャンすることで
好きなものを注文できる。
また、WeChatを通して医者の予約を取ったり、
犯罪を警察に通報することも可能だ」という。
Kikは現状ではWeChatほど多機能ではないが、
多くのことをそこから学べるという。
リビングストーンがライバル視するのは
FacebookのMessengerプラットフォームだ。
MessengerはKikの3倍以上のユーザ数を誇り、
7億人のユーザを持つ。
「我々はFacebook Messengerが数ヶ月前に立ち上げた
ネイティブ・プラットフォームと同じ物を4年前に
既に立ち上げていた」とリビングストーンは言う。
彼は以前から「チャットはコモディティ(消費財)だ」
と主張していた。
[ad#co-1]Kikはチャットだけでなく、ユーザが遊べる
アプリやカードを提供してきたが、
もうアプリの成長には期待できないという結論に達した。
調査会社のコムスコアのデータによると、
米国人の3分の2は、もはや新しいアプリを全く
ダウンロードしないという。
Kikは現在、チャット・ボットに注力している。
昨年、Kikはマーケティング担当者を招き入れ、
自動化されたチャット・ボットとユーザーを
会話させる試みを始めた。「ロボットとの会話」
というと奇妙に聞こえるかもしれないが、
Kikでは既に1600万人のユーザが、
ボットとの会話を経験している。
「ボットはKikの将来の成長にとって、欠かせないツールになる」とリビングストーンは述べている。
WeChatとの提携で、Kikはボットの機能を進化させる。
例えば自動販売機上のQRコードをWeChatでスキャンすると、
ボットが自動販売機とチャットを開始し、
ユーザが欲しい物を尋ねる。ボットは人々だけでなく
「全ての物との会話を可能にする」とリビングストーンは言う。
マーケットリサーチ企業のGlobalWebIndexの調査によれば、
2015年にKikユーザの約3分の1近が「チャット・ボット」
を通じ、広告主のブランドに接触した。
[ad#co-1]一方でFacebook Messengerでの広告接触率は
全ユーザの13%だった。
「相対的に見てKikユーザのほうが、
Facebookよりも広告接触率が高い」
とGlobalWebIndexのアナリストは述べている。
リビングストーンは「将来的にはKikのようなチャットアプリが、
iOSやAndroidを置き換えるポジションをとる」
と信じている。ユーザーはボットを通じて、
全てのサービスと接触するようになるというのが彼の考えだ。
元ブラックベリーのエンジニアのリビングストーンは
過去6年間に渡り、WeChatと話し合いを続けてきた。
彼はMedium上で「西洋諸国でのWeChatを目指したい」
という記事を公開し、その結果、
WeChatが提携に関心を示したという。
リビングストーンはテンセントとの提携にあたり
「ティーンエイジャーが必要とするサービスを
考えることが大切だ。 WeChatにはその可能性
の全てがつまっている」と述べている。
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